【ラーマキエンの物語】

1.「ダイアモンドフィンガーのお話」

2.「ラーマ王子とシーダ姫の誕生」

3.「ラーマ王子とシーダ姫の結婚・父王の死」

4.「ラーマ王子とトッサカンとの戦い」

5.「鬼たちとの戦い」

6.「シーダー妃のルイファイ(火渡り)」

7.「モンクットとロップ――ラーマ王子の息子たち」

8.「最後の戦い」


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古代からあるとされているタイの伝統的な舞踊劇の一つで、およそ仏暦16世紀(西暦10〜11世紀ごろ)以前からあるとされている。これは、ピマーイ遺跡(ナコンラーチャシーマー県)に残されているプラトゥープラサートヒン(神の宮殿の石門)など、多くの場所に残っている、ラーマキエン物語の彫刻からそう信じられている。
 ラーマキエン物語は、アユタヤ王国の王子達と、悪魔の国ランカー国の王トッサカンとの戦争の話である。
 この闘いは、トッサカンがラーマ王子の婚約者であったシーダー姫をさらい、自らの妻としてランカー国内の庭園に閉じ込めたことから始まった。ラーマ王子とラック王子は、シーダー姫を取り戻そうと追いかけてこのランカー国までやってきた。その途上では、キートキンという都の王であるスットリープと、チョムプーという都の王であるターオマハーチョムプーの2匹の猿を従者にしていた。
 ラーマ王子とラック王子は、2つの都に軍を配置し、道を塞ぎ、海を渡って、休憩所を作ることにした。そして、陣営を構え、ランカー国のトッサカンと幾度となく闘った。進退を繰り返したラーマ王子とトッサカンであったが、ついには悪が滅びたのであった。
 このラーマキエン物語は、罪を犯した人は、その報いを必ず受けるという功徳を教訓とした古典文学である。
 ラーマキエン物語の舞台用の台本は、僧侶であるラーンパライ氏によって、宮廷舞踊劇として上演されるために脚本化されたもので、タイでは非常にポピュラーなものである。

1.「ダイアモンドフィンガーのお話」


むかし昔あるところに、プラ・イスワンという神様の家来でノントゥクというものが  住んでおりました。ノントゥクはプラ・イスワンの神殿があるカイラート山のふもとで、プラ・イスワンを訪ねてくる天人たちの足を洗う仕事をしていました。天人たちはみんないたずら好きで、足を洗ってもらいながらノントゥクのことをからかうのです。例えば、ノントゥクの髪の毛を引っ張って抜いてしまったり。おかげで、ノントゥクはツルツルの禿頭になってしまいました。
 悔しがったノントゥクは、プラ・イスワンに、天人たちに仕返しがしたいと涙ながらに訴えました。「どうか私の人差し指を魔法の力を持つダイアモンド・フィンガーにしてください。」ダイアモンド・フィンガーで指差したものは何でも破壊することができるのです。プラ・イスワンからダイアモンド・フィンガーをもらったノントゥクは、次々と自分を  からかった天人たちを指差しては殺してしまいました。
 驚いたプラ・イスワンは、4本の腕を持つ神プラ・ナーイを呼んで、ノントゥクを    こらしめるよう命令しました。
 プラ・ナーライが、美しい女性に姿を変えてノントゥクの前に現れ、女らしい優雅な  しぐさで踊りを踊ってみせると、ノントゥクはあっというまに一目惚れ。メロメロに   なったノントゥクは、美しい女性に誘われるまま、一緒に踊り始めました。そして、踊りの最中に、なんとあのダイアモンド・フィンガーで自分の足を指差してしまったのです。
たちまち足は粉々になり、ノントゥクは地面に転がりました。それを見届けたプラ・ナーライは、美しい女性の姿から元の姿に戻って、ノントゥクを押さえつけました。
 ノントゥクは苦しい息の下から、「正々堂々と戦わず、女の姿に化けて俺をだますなんて。この卑怯者め!」と悪態をつきました。それを聞いたプラ・ナーライは怒って「そんな   ことを言うのなら、この次に生まれ変わるときには、お前には10の頭と20本の腕を  やろう。私は2本しか腕のない普通の人間に生まれ変わって、もう1度お前を打ち負かしてやる。覚えておけ!」と言ってノントゥクにとどめを刺しました。
 こうして、ノントゥクが生まれ変わったのが鬼の王様トッサカン。プラ・ナーライは
ラーマ王子に生まれ変わって、ラーマキエン物語の二大主人公の登場です!

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2.「ラーマ王子とシーダ姫の誕生」
アユタヤー国のトサロート王には子供がおりませんでした。そこで5人の賢者が集められ、王に子供が生まれるようにと、儀式が執り行われました。神聖なお米で作られた四つのお団子が神殿に捧げられたところに、悪魔が現れました。
実はその悪魔こそ、トッサカンが送り込んできた鬼の国の家来だったのです。彼の后のモントーが、鬼の国まで漂ってきたお団子のかぐわしい香りをかいで、すっかり食べてみたくなり、トッサカンに頼んだのでした。トッサカンは家来の一人に、カラスの姿に化けてあの香りの元を突き止めるように命じました。カラスの姿になった家来は、お団子を半分盗むことに成功して飛び去りました。
儀式の後、残りのお団子はそれぞれトサロート王の3人の后に与えられ、それを食べた第一王妃はまもなくラーマ王子を出産しました。こうやってプラ・ナーライは再び生まれ変わったのです。第二王妃からはプロット王子(プラ・ナーライの持つ魔法の武器の一つ、円盤の生まれ変わりといわれています)が、第三王妃からはラクシュマナ王子(同じくプラ・ナーライの武器、ほら貝と、彼の乗り物、ナーガというヘビの王様の生まれ変わり)と、サトル王子(プラ・ナーライの武器、こん棒の生まれ変わり)の双子が生まれました。
トッサカンの后、モントーも家来が持ち帰ったお団子を食べて、やはり身ごもりました。
そして、シーダ姫(プラ・ナーライの后、ラクシュミーの生まれ変わり)が産まれました。
シーダ姫は生まれてすぐに、「鬼の一族を滅ぼしてしまえ!」と3回叫びましたが、両親は気づきませんでした。これを聞いたトッサカンの弟のピペークと宮廷内の占い師たちは、シーダ姫が鬼の一族を破滅させると予言しました。そこで、シーダ姫を鉢に入れて、海に流してしまいました。
海の神々に護られ、シーダ姫の入れられた鉢は、修行者チャノック(実はミティラ国の王)に見つけられました。チャノックはしばらく姫の面倒を見ましたが、修行中の身だったので、神々に姫の世話を託して、姫を大きなバンヤンの樹の下にそっと埋めました。


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3.「ラーマ王子とシーダ姫の結婚・父王の死」
 長年の修行を終えてミティラ国に帰ることになったチャノックは、バンヤンの木の下に埋めたシーダを娘として連れて帰ることにしました。子供のいなかったチャノックと王妃はシーダを大切に育て、シーダはこの上なく美しい娘に成長しました。チャノックは、ミティラ国に伝わる大変重いプラナーライ神の弓を取り出して、この弓を持ち上げることのできた若者をシーダ姫の花婿に迎えると決めて、周囲の国々に使者を送りました。
各地から我こそはと集まってきた若者たちの中に、ラーマ王子もいました。弓を持ち上げる前に目と目が合ったラーマ王子とシーダ姫はひと目で恋に落ちてしまいました。そして他の誰もが重い弓に四苦八苦する中、ラーマ王子はその弓を軽々と持ち上げてみせたのです。めでたくふたりは盛大な結婚式を挙げました。
ここでお話は少し変わって、トラピという黒牛が登場します。トラピの父親はトラパといって元はプラナーライの家来でしたが、悪いことをした罰に白牛に姿を変えられ自分の息子から殺されるように運命付けられます。トラピは山奥の洞窟で天使たちに育てられ大きく強く育ちます。そしてある日とうとう父親トラパに戦いを挑み殺してしまいました。父親を殺して自信満々のトラピはプラナーライをも倒そうとしますが、怒ったプラナーライは、まずキドキン国(猿の国)へ行き猿の王のパーリと戦って力を示してみよと言います。トラピに戦いを挑まれたパーリは、山奥の洞窟の中で7日間戦った末トラピを倒しました。その戦いの時、パーリは弟のスクリープに、戦いが終わって洞窟の中から流れ出る血が濃い色ならトラピの血だから自分が勝ったということだがもし薄い血だったらそれは自分の血だ、その時はトラピが外に出られないように洞窟の入り口をふさぐようにと言いました。不幸なことに戦いが終わった日は雨が降っていたので洞窟から流れてきた血は薄まっていました。それを見たスクリープはてっきりパーリがトラピに殺されたのだと思って洞窟の入り口をふさぎました。閉じ込められたパーリは、スクリープが自分の代わりに王の座を狙ったのだと勘違いして怒り狂いスクリープを国から追放してしまいました。
一方、アユタヤー国では、トサロート王が王座を息子のラーマ王子に譲ろうと考えていました。しかし、第二王妃カイヤケシーの侍女でせむしの女がカイヤケシーをそそのかし
て、カイヤケシーの息子のプロット王子を王座につけるようトサロート王にお願いするよ
うに言いました。せむしの侍女はその昔まだ子供だったラーマ王子にからかわれたことを
恨みに思っていたのです。カイヤケシーは侍女の入れ知恵でラーマ王子を14年間森に修行に行かせるように王に進言しました。以前カイヤケシーと、彼女の頼みは必ずきくと約束していた王は断ることができませんでした。
ラーマ王子はシーダ姫と弟のラック王子とともに森に入っていきました。ラーマ王子を失った悲しみのあまり、トサロート王は亡くなってしまいました。3人の王妃たちとプロット王子とサトル王子は森の中の3人を追いかけ、都に戻るよう説得しましたが、ラーマ王子は父王の言葉に従うと言ってシーダ姫とラック王子を連れて、なおも森の奥へと入って行きました


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4.「ラーマ王子とトッサカンとの戦い」

ある日、森に狩りに出かけることにしたトッサカンは、義弟のチウハに、留守の間、国を見張っておくようにと命じました。チウハは魔法を使って自分の舌を大きく広げ、国を覆い隠し、そのまま居眠りしてしまいました。狩りから帰ったトッサカンたちは、チウハの舌に隠された自分たちの国が見えずに大慌て。トッサカンはチウハの舌に向かって、円盤を投げつけ、そのためにチウハは死んでしまいました。
チウハの妻だったサンマナッカーは、嘆き悲しんで深い森の中をさまよううちに、偶然森で修行していたラーマ王子を見かけ、恋をしてしまいます。サンマナッカーはシーダー姫に化けてラマ王子を騙そうとしました、が鬼だとばれてしまい ラマ王子の弟のラック王子にこらしめられ、鼻と耳を切り落とされてしまいます。
サンマナッカーは国に逃げ帰り、兄のトッサカンに仇を討ってほしいと頼みました。そして、兄が気を引かれるように、わざとシーダ姫の美しさをほめそやしました。トッサカンは家来に命じて、金色の鹿に化けさせてラーマ王子とラック王子をおびき出し、その隙にシーダ姫をさらって、ランカ国に連れ帰りました。
サダーユという鳥から、シーダ姫がトッサカンに誘拐されたと聞かされたラーマ王子とラック王子は、シーダ姫の行方を追いました。途中、白い猿のハヌマーンと出会います。ハヌマーンは、ラーマ王子の家来になりたいと申し出ました。さらにハヌマーンは、叔父のスクリープを王子たちに引き合わせ、猿の軍隊全員でラーマ王子がシーダ姫を取り戻すのを助けることになりました。
力強い味方を得たラーマ王子は、まず、ハヌマーンたち3人の猿をランカ国に送り込み、猿の軍隊がそれに続きました。ランカ国に忍び込んだハヌマーンは、トッサカンに言い寄られて悲観し、首をつろうとしていたシーダ姫を発見し、助けに来るから待っているようにと、ラーマ王子の指輪を渡して力づけます。
ランカ国では、トッサカンが悪い夢にうなされていました。弟で予言者のピペークは、兄に「シーダ姫を返すように」と助言しますが、トッサカンは怒り狂って、ピペークを国から
追放してしまいました。正直者で誠実なピペークは、ラーマ王子の家来となります。
ラーマ王子たちは、ランカ国へと攻め入り、トッサカンの親族や友人たちと数々の戦いを繰り広げました。互いにあらゆる魔法を使っての激しい戦いでした。そして、ついにトッサカンの命を奪います。トッサカンは自分の心臓を魔法の箱にしまって隠してあり、そのために不死身だったのですが、ハヌマーンの機転でその箱を見つけ出し、ラーマ王子がトッサカンを弓で射ると同時に、ハヌマーンが箱の中の心臓を握り潰したのでした。
無事助け出されたシーダ姫は、ラーマ王子への貞節を証明するために、火の上を歩く儀式を行いました。トッサカンの魔の手から逃れたシーダ姫は純潔だったので、火の上を歩いても平気でした。
ラーマ王子は、ピペークを兄の代わりにランカ国の新しい国王にしました。そして、シーダ姫、ラック王子、ハヌマーンらを連れて、14年間留守にしていたアユタヤー国へ勝利の凱旋をしました。
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5.「鬼たちとの戦い」

ランカー国の新しい国王となったピペークは、トッサカンの妻だったモントーを自分の后にしましたが、そのモントーに男の子が生まれました。パイナスリウォンと名付けられたこの男の子は、実はトッサカンの忘れ形見だったのですが、自分の子供と思い込んだピペークは大喜びします。ちょうど同じころ、ハヌマーンとベンヤカーイ(ピペークの娘)の間にもアスラパットという男の子が誕生して、ピペークとハヌマーンは義理の親子としての絆を深めることになりました。
ある日、パイナスリウォンは、本当の父親がトッサカンで、トッサカンはラーマ王子やピペークに殺されたのだということを古くからの家来から聞かされ、トッサカンの古い友人でマリワン国を治めるチャクラワットを訪ねて助けを求めました。チャクラワットは直ちに兵を率いて、ランカ国へ攻め入り、ピペークを捕らえてしまいました。パイナスリウォンは代わりにランカ国の王となり、実の父にちなんでトッサピンと改名しました。
これを聞いたアスラパットは父ハヌマーンと共に、ラーマ王子にピペークが捕らえられたことを知らせるためアユタヤー国へ急ぎました。ラーマ王子は、弟のプロット王子とサトル王子に、チャクラワットを倒してピペークを取り戻すよう命じました。もちろんハヌマーン達猿の軍隊も黙っていません。早速猿の兵隊ニラパットは、ランカ国に渡るための大きな橋に変身して、プロット王子たちの軍隊を導きました。
ランカ国に攻め込んだプロット王子達は、すぐにトッサピン達を捕らえて町中を引き回してその首をはねました。ピペークを助け出したその足で、チャクラワットを倒すためマリワン国へと歩を進めました。チャクラワットが悪夢にうなされている頃、ハヌマーンはマリワン国を取り囲む火の砦と毒蛇の砦を次々と攻め落としていました。チャクラワットは自分の息子たちを繰り出して戦いました。山に姿を変えて王子たちの軍を取り囲んだり、毒の槍を打ち込んだり、魔法の武器を使ったり、友人達を総動員したりしましたが、王子達の軍は勝てませんでした。チャクラワットは最後にプロット王子の矢を受けて倒れました。
しかし、死の直前にプロット王子とサトル王子が共にプラ・ナーライの武器の生まれ変わりであることを知り、許しを請いました。王子たちの軍は意気揚揚とアユタヤー国に帰って行きました。帰りは、ハヌマーン自身が大きな橋に変身して、軍隊がランカ国から海を渡るのを手伝いました。



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6.「シーダー妃のルイファイ(火渡り)」

ランカー国の王トッサカンはシーダー姫を連れ去り、ランカー国の庭園に閉じ込めてしまった。それを追いかけてきたラーマ王子とラック王子とその従者達は、トッサカンと闘いを繰り返し、最後にはラーマ王子側の勝利となる。
 ランカー国から救出されたシーダー妃は夫のプラ・ラームの居城に伺候した。しかし、シーダー妃は長い間ロンカー国に幽閉され、何年もトッサカンの王宮で篤いもてなしを受けていた上に多くの財宝をトッサカンにねだったなどと人々が非難するのを恐れたプラ・ラームは、妻を問責した。シーダー妃はそのことをいたく悲しみ、雷に撃たれたように苦しんだ。そして、プラ・ラームに対し、神々を承認として招いた儀式で、身の潔白を証すための火渡りを行うと告げた。
 プラ・ラームがチャンタラーティットという名の特別な矢を射ると、神々が集まり、アッキー(火)という名の矢を射ると薪に火がつき、真っ赤な炎を出して燃えさかった。シーダー妃は精神を統一し、心の中で参集したさまざまな神々に、私にほんのわずかでも夫を裏切る気持ちがあったなら、どうぞこの身を焼き滅ぼし無間地獄に落として下さい、もし夫を裏切っていなかったら足を灼熱から守って下さいと祈願した。
 シーダー妃が火渡りを始めると、わずかな熱ささえも感じられず、それどころかティップという名の蓮が妃が歩を進める度に地中から伸び、妃の足を守った。プラ・ラーム、シーダー妃、プラ・ラックはアヨータヤーの都へ帰る。

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7.「モンクットとロップ――ラーマ王子の息子たち」

シーダ姫はラーマ王子の赤ちゃんを身ごもり、幸せな毎日を過ごしていました。ある日、宮殿で水浴びをしていたシーダ姫は、召使いのアダンに、「トッサカンとかいう鬼の国の王様はどんな顔だったんですか。教えてくださいな。」と何度も頼まれ、仕方なく似顔絵を描いて見せました。そこへ、森へ出かけていたラーマ王子が帰ってきました。シーダ姫は急いでその絵を隠しましたが、見つかってしまいました。絵を見つけた王子は勘違いして逆上し、「シーダ、おまえはやっぱりトッサカンのことが好きだったんだな。このふしだらな女め!出て行け!」とシーダ姫をののしりました。そして弟のラック王子に、すぐにシーダ姫を森に連れて行き、殺してその心臓を持って帰ってくるように命じました。
実は、これは召使いのアダンの策略だったのです。アダンはトッサカンの姪の鬼で、一族を滅ぼしたラーマ王子やシーダを恨んでおり、復讐のために美しい女性になりすましてラーマ王子の宮殿に入り込んでいたのです。
ラック王子は、シーダ姫を連れて森に入りましたが、シーダ姫を殺すことはできず、森に倒れて息絶えていた鹿の心臓を取り出して持ち帰り、シーダ姫の心臓だと偽ってラーマ王子に渡しました。
一部始終を天から見ていたインドラ神は、水牛の姿になってシーダ姫を森の修行者ワッチャマラックの庵に導きました。シーダ姫はその庵でかくまわれ、かわいい男の子を産み落としました。ワッチャマラックはその子をモンクットと名付けました。そして、モンックトの遊び相手になるようにと、魔法を使ってたちまちもう1人男の子を作り、その子にはロップと名前をつけました。
モンクットとロップは、元気な男の子に成長しました。10才になったある日のこと、ふたりは森の木を的にして魔法の弓矢で遊んでいました。矢が木に当たったとき、大変大きな音がしました。その音を聞きつけたラーマ王子は、誰がこんな大きな音を出したのか、音の主を捕まえてこらしめようとしました。音の主が自分の息子たちだとは思いも寄らなかったのです。その結果、モンクットは捕まって、アユタヤー国へと連れて行かれてしまいましたが、何とか逃げ出したロップは天人たちの助けを借り、シーダの魔法の指輪を使って、無事モンクットを救い出しました。
逃げられて怒ったラーマ王子は、ふたりを追いかけて戦いを挑みました。しかし、どんな武器を使っても、お互いがちっとも負傷しないことを不思議に思ったラーマ王子は、ついに、モンクットとロップが自分の息子であるとわかったのでした。
今までのいきさつを聞いたラーマ王子は、シーダ姫にアユタヤー国へ戻ってきてほしいと頼みましたが、シーダ姫は聞き入れませんでした。そこで、ラーマ王子は策を巡らし、ハヌマーンに命じて自分が死んだという知らせをシーダ姫のもとへ持って行かせました。驚いたシーダ姫はすぐにラーマ王子のなきがらに最後のお別れを言うため、アユタヤー国へ戻って来ました。でも、この嘘はすぐにばれてしまいました。シーダ姫はすっかり怒ってしまい、地底のナーガ(竜王)の国に姿を隠してしまいました。
嘆き悲しむラーマ王子に、今はランカ国の王となった予言者ピペークが、「厄落としのために、1年間森で修行をしておいでなさい。」と忠告しました。それを聞いて、ラーマ王子はラック王子やハヌマーンを引き連れて森へとひきこもることにしました。
森にはまだたくさんの鬼たちが住んでいて、ラーマ王子たちがこれまで打ち倒してきた鬼一族の仇を討とうと、王子たちに戦いを挑んできました。王子たちはことごとくそれを退けました。猿の軍隊も王子たちを助けて大活躍しました。
そして、とうとう1年が経ちました。全てを見ていたシヴァ神のはからいでラーマ王子とシーダ姫は仲直りをし、二度目の結婚式を挙げました。
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8.「最後の戦い」

コンタヌラートという悪い鬼がおりました。ある日これまた悪者の息子、ヴィルンパットと共に家来を引き連れて森へ出かけました。森の中で修行者たちが苦行に励む庵を見つけた鬼たちは、修行の邪魔をしてやろうと面白がって暴れまわり、修行者たちを追い払ってしまいました。おびえた修行者たちが逃げていく後をつけて行くと、カイヤケートという国へとたどり着きました。この国はプロット王子(ラーマ王子の異母弟の一人)の母方の祖父が治めていましたが、コンタヌラートたちの襲撃に遭い、あっという間に国を乗っ取られてしまいました。カイヤケートの王はいったんコーウィンの修行者たちの庵へ姿を隠しました。そして生き残った兵隊が、アユタヤー国のラーマ王子のもとへ危機を知らせました。
ラーマ王子は早速、二人の弟プロット王子とサトル王子、そして二人の息子モンクットとロップをカイヤケートの国へ差し向けました。ハヌマーンとスクリープを先頭に軍隊はカイヤケートに到着し街を包囲しました。まず、チャンプワラートという兵隊が使者としてコンタヌラートの元へ送り込まれ、鬼たちに、降参して国を明け渡すようにと迫りました。しかし、素直に言うことを聞くような鬼たちではありません。あっという間に戦いが始まってしまいました。ハヌマーンたちの軍隊が次々と鬼の軍隊をなぎ倒していくうちに、ロップがヴィルンパットを捕まえました。ロップが放った矢がつむじ風を巻き起こし、その風で戦場を飛び交う矢がすべて集まってきてヴィルンパットの体をめがけて突進したので、ヴィルンパットはひとたまりもなく命を落としたのでした。息子ヴィルンパットの仇を討とうと立ち上がったコンタヌラートをやっつけたのは、モンクットでした。モンクットも魔法の矢の力を借りて、やすやすとコンタヌラートの命を奪いました。戦いに勝ったプロット王子、サトル王子をはじめとする軍隊は、まず姿を隠していたカイヤケートの王を呼び戻し、元通りカイヤケートの国を治めるようにさせました。それからアユタヤー国へ凱旋しました。勝利のニュースでアユタヤー国は沸き返っており、ラーマ王子も弟たちや息子たち、そしてハヌマーンたちを大喜びで迎えました。こうして、ラーマ王子たちの力でこの世に平和が訪れ、みんながいつまでもいつまでも幸せに暮らしましたとさ。おしまい。

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インターナショナル タイダンス アカデミー(タイ舞踊学校 ITDA)